癒し(いやし)ケア・支援事例

状況 支援内容

1

自宅でお住いの方で介護サービスを利用しているが、ゆっくり話を聴いてもらえず寂しい想いをしている。

訪問介護、訪問看護を利用されていたが、契約の時間で、掃除、買い物、処置など行うことが多く、公的サービス利用中にゆっくり話をすることは難しい。その為、「こころのケア」で介入させて頂き、真剣にお話を聴かせて頂く。ペースとしては、月に2回訪問させていただく。話の内容は、今までの仕事の話や、子育て中の充実した時間、また、今後の悩みなど多岐に渡る話題について対話させて頂く。今では、訪問する日を楽しみにして頂いています。

2

施設入所している方で、日々の生活は出来ているが、入所者同士で話が出来ずに寂しい想いをしている。 施設管理者と家族の方から、本人の生活が充実したものにならないか相談あり、そこで「こころのケア」で介入させて頂く。施設生活の話、元気に畑で野菜作りしていた時の話などしっかり腰を据えお話を聴かせて頂く、今までは居室に閉じこもりがちであったが、段々と表情も明るくなり他利用者様とも会話をされるようになる。

3

父が認知症になり、家で暴言、暴力を振るって困る。 認知症のある方にかかわりを持たせて頂く。同じ話の繰り返しで、自分が若いころの時に遡っている。そのようなことを家族は理解が難しい為、すぐに「それは間違い、そんなことは無い」と相手を否定してしまう。そのため、認知症があるその方は自分を否定されたと思い、感情的になり、暴言、暴力を働く、そんな繰り返しであった。そのため、まずは、家族の方に説明し、認知症の理解をしていただきました。家族の方からは、「教えてもらった方法で接すると、あんまり腹も立たんようになったし、相手も怒ることが少なくなった」と言われるようになった。認知症のある方とその家族の間に入り、両者ともに共感しながら支援させていただき、今では、認知症があっても家族の一員として楽しく生活されています。

4

父にデイサービスに行ってほしいと思っているが、まったく言う事を聞かず家族が困っている。

娘さんから相談があり、お父様にかかわらせていただく。お父様はデイサービスへ行くことを拒否され、その為、自宅での介護で家族がかなり疲弊していました。親子なのでどうしてもお互いに言いたいことを言ってしまい、話し合いではなく最後にはケンカになってしまっていた。そこで、私が間に入らせて頂き、お父様に声をかけ、なぜ行きたくないかを丁寧に話を聴かせて頂く。父の理由としては、自分は元気なのでそんなところに行く必要はないとのことである。しかし、このままだと家族が疲弊してしまい、家での生活が継続できなくなりことを説明し理解して頂く。1度の説明では理解が難しく、信頼関係を築きながら、3回、4回と説明を重ねて、現在では週1回のデイサービスの利用をされている。

5 施設内で認知症の方が、他利用者に暴言を吐き、家族、職員ともに困っている。 自宅での介護を続けていたが認知症の症状が重くなりやっとの思いで施設入所が決定し、やれやれと家族の方は安心していた。しかし、その施設でその方はなかなか馴染めず、職員・他利用者に暴言や介護拒否があり、困難を極める。家族・職員から相談があり、介入させて頂く。まずは外に散歩に行き、話に耳を傾ける。場所は施設内ではなく自然の中ということで安心し落ち着かれる。そして、次に取り組んだことは部屋に慣れ親しんだ物を置き、本人様が落ち着く環境を整えることをした。また、時には、ベッド上で、簡単な瞑想を行うこともして、徐々に落ち着きが出てくる。現在では、以前のように大声を出したりということは無くなる。
6  親子2人暮らし(父・娘)、2年前に娘がベランダから飛び降り骨折、今回も自殺を試みようとする娘の父からの電話相談。  この日もベランダから飛び降りようとする娘を発見し、父が止め、父がどうしていいか分からず、電話相談が入る。父は、とりあえず娘の話を聴いてほしいとのことで電話を代わり、娘の話に1時間程度、耳を傾け、寄り添う。最初は早口で感情的に話していた娘さんも徐々に落ち着き、娘さんの方から「お話を聴いてもらいすっきりしたので今日は死ぬのをやめます」と言われる。一時的に気持ちが高ぶり自分でも家族でもどうすることも出来なかったが、積極的傾聴により安心し、自分を取り戻されたようである。
7  「今から死ぬ、近くに殺虫剤、包丁がある」と自殺をほのめかす電話相談。  まずは、死ぬ前に電話をしてくれたことに感謝し、丁寧に相手の話に耳を傾ける。死にたい理由は、病気でつらく、世の中もおかしい、このまま生きていてもつらいだけなので死ぬという訴えである。痛みを理解し、病院受診を進めてみるが、案内する病院はほとんど過去に受診してダメだったと言われる。往診してくれる病院を見つけ案内すると、「その病院は行ったことがない、往診もしてくれるのか」と話を聞いて下さる。相談のあった日は、は土曜夜だった為、明後日の月曜日にその病院に受診すると約束をして下さる。とりあえず、数日は自殺することを延期される結果となる。
8  施設入所の利用者様が急にうつ状態になる。原因は家族に捨てられたと感じ、段々と食欲もなくなり、施設内でも話もあまりしなくなる。  施設の職員より相談あり。まずは、一緒に外に散歩に行き、公園のベンチで話をすることとする。1時間ぐらい話に耳を傾け、背中をさするというタッチングを行いながら、過去を回想される支援を行う。家族と電話でケンカをして、それから面会が無いので家族に捨てられたと自分で思い込んでいる。一時的に距離を置いているだけで捨てられたわけではないのかもと考え直し、最後は、「こんなに落ち込んでいても仕方がない、前を向いていかなあかんね」と自身から気持ちを前に向けられる。施設周辺の散歩を定期的に行い、散歩しながら会話をし、気持ちが段々と前向きになられる。そして、以前の明るい利用者様に戻られる。
9 親の認知症を理解できず、親子喧嘩が絶えない。家族から相談あり。  子どもさんから相談を受ける。支援に入ると、激しい言い合いがあり、手が出る(暴力)一歩手前である。まずは、子どもさんに認知症、ADLの低下に関してしっかり説明し理解してもらう。子どもさんは元気なころの親の姿に戻れないことが分からずに現実離れした内容を望まれていた。「昔は、これは出来た」「前はこんな風ではなかった」というセリフが良く聞かれた。子どもさんも激しく言い合った後は、なぜあそこまで言ってしまったのかと後悔し自分を責めることもあった。親の障がいや、老いについて、段々と受け入れが出来るまで介入させていただき、今では親子仲良く生活されている。
10  胃にチューブをつなげて栄養を流す胃ろうを増設するかどうか患者家族が悩んでいる(患者はすでに話しが出来ない状態である)。そんな家族から相談あり。

家族から選択することに迷っていると相談あり。一般的な胃ろうの説明と、胃ろうにした場合、そうでない場合の今後を説明し、本人にとってどちらが良いかを考えていただく。考えるヒントとしては、元気なうちの生活はどうだったか、物の考え方はどうだったか、延命に関しての話が今までなかったか思い出していただく。1人では難しいので家族間でよく話し合い決定してもらうように促す。どういう形であれ、その方のために一生懸命考えて出した答えで良いことを伝える。

11  老々介護で、介護者が手を出すようになる(虐待)。近所の方から相談あり。  近所の方から相談があり、訪問する。近所の方の話を聞くと、最近、介護者がかなり疲れているようで、言葉も荒くなったと言われる。介護者の話に耳を傾けると「本当はこんな手を出すことをしたくない」が思うようにならんとつい手が出てしまうと話される。一生懸命やりすぎ疲弊している、その想いに寄り添い、介護を頑張って行っていることを労う。要介護状態であるのに、介護サービスを利用されておらず、自分だけで苦しんでいたのである。その為、関係機関につなげ、現在では訪問介護とデイサービスを定期的に利用され、介護者に笑顔も戻る。
12 介護施設で働く職員の方から、今の職場を辞めたいと相談を受ける。 なぜ、職場を辞めたいのかを丁寧に話を聴く。福祉の仕事は好きだが、仕事内容が自分に合ってないような気がすると言われる。資格を取得しているが、今はその資格を十分に活かせていない、本当にやりたいことは違うと訴えあり。福祉のキャリアデザインの話をさせて頂き、様々な選択肢があることを伝える。その選択肢から決定するのは自分自身で、今の職場でやりたいことを上司と相談するのか、今の職場を辞める方向で計画的に引継ぎをして新しい道を選択するのか。