支援していると、身寄りのない認知症の方の「終の棲家」に悩むときがある。
意思決定支援の重要性が言われているが、認知症で記憶力も乏しくなっており、支援者が判断に迷うことばかりである。
健康を損なう恐れがあり、関係者で施設などの入所をすすめる。本人様といくつか施設を見学に行くが気に入らない様子。しかし、Aサ高住を見学に行ったとき、「とりあえず昼はここにおるわ、ご飯も風呂もあるんやろ。しかし、家には帰る。」と言われていた。
私は一旦帰り、Aサ高住の管理者に定期的に電話で様子を確認すると「今のところは穏やかに過ごされています」との答え。
一番、心配なのは夕方である「夕暮れ症候群」という言葉があり、認知症の方が夕方になるとソワソワとされる時間である。
夕方にAサ高住に心配して電話すると「部屋で休まれています」とのこと。心配とはよそに、そのまま宿泊される。
翌日、本人様に会いに行き、声をかけると、「ここはええとこや、また会いに来てや。」と家に帰るという言葉は出てこないどころか落ち着かれている。
そして、そのまま入居となった。
何度も、何度もそれまでに意思決定支援を行った。「家で死んでもいいと思っている。」「生まれた家が良い。」と言い続け、関係者でぎりぎりまで支援を行ってきた。
本人様にとってどうあるべきかを皆で考えてきた。
これからまた新しい人生の始まりである。
認知症の方にもしっかり選択肢を提供し、自分で決めて頂くということが大事だとあらためて思った。
関係者で入居を決定してしまうのではなく、本人様に納得(体験)して決定して頂く。
今回もAサ高住とはいきなり本契約せず、数日様子をみた。「家に帰る」という選択肢を選ばれることも想定していたからである。
もし、その選択肢を選ばれた時は、また関係者で、更にぎりぎりまで在宅生活を支援するつもりであったからである。
人の支援は、考えても考えても、考え過ぎは無い。何が正解かも難しい。
これからもとことん悩みたい。